タイ県巡り・ナコンシータンマラート・ソンクラー02
大通りを走るソンテオを利用し、博物館、ワット・プラマハタートを順に見学する。そしてワット・プラマハタートからスチャート・サプシンの家まで歩いて向かった。スチャート・サプシンの家はタイ南部の影絵「ナン」を見学できる施設だ。博物館、工房、売店などがあり、また併設された芝居小屋で実際の影絵を見学することも出来る。
施設を訪れた時には客は私一人だけだったが、スタッフに影絵芝居の上映をやってもらった。影絵師は人形をスクリーンから近づけたり遠ざけたりするだけで、色々な雰囲気の場面を作り出していた。ただ、基本的には人形の動きが少ない芝居なので、文楽などの人形劇と比べると単調な印象がある。それでも細かい細工が施された影絵人形がスクリーンに浮かぶ様子を追いかけるのは楽しかった。
翌日、ナコンシータンマラート郊外の公園にある山田長政の慰霊碑を見学する。アユタヤの日本人町の頭領として有名な山田長政は、当時のアユタヤ王朝の政争に巻き込まれタイ南部のリゴールに左遷されてしまう。このリゴールが現在のナコンシータンマラートであり、長政はこの地でマレー人王朝パタニ王国との戦闘中に負傷し、陰謀によって傷口に毒を塗られ死亡したとされている。その後アユタヤの日本人町も焼き討ちにあってしまい、タイの日本人社会は急速に滅亡してしまった。
山田長政の慰霊碑は、広い公園の一角にひっそりと佇んでいた。この慰霊碑は2001年に建立されたものであり、碑文は当時の総理大臣であった森喜朗の書が刻まれており、意外と新しい慰霊碑だった。まあ山田長政は日本人にとって特別な存在であるということを、改めて確認させられた。
この後、タクシーでバスターミナルまで向かい、ハジャイ行きのバスに乗ろうとした。バスターミナルの案内所で、ハジャイ行きのバスの切符売り場はどこですか?と聞いたら、ハジャイまでのバスは無いと言われてしまった。その上でバスターミナルに併設しているロットゥーのターミナルを指さし、そこでロットゥー(乗合ヴァン)に乗れと言われてしまう。ナコンシータンマラートもハジャイも南部タイでは比較的大きな町なので、バスくらいあるだろうと思っていたが、当てが外れてしまった。
私はロットゥーターミナルでハジャイ行きロットゥーの切符(170B)を買い、ロットゥーが来るのを待っていた。ロットゥー室内は狭いから、バスがあるのならバスに乗りたいと思っていたが、まあ無いものは仕方ない。
ところが、しばらく経つと向かいの乗り場にハジャイ(หาดใหญ)行きのバスが停まっているのを発見した。何だ、バスあるんだ。私はロットゥーの切符の払い戻しを受け、バスの切符(同じく170B)を買い戻し、バスに乗る事にした。うーん、バスが無いなんてダサまれるところだった。
しかし、よく考えるとこのバスは結構小さなバスで、25人乗りのミニバスだった。しかもここはロットゥーターミナルだ。私はバスターミナルでロットツアー(長距離バス)は無いか尋ねたが、ロットツア―=大型バスだとすれば、ミニバスはロットツア―に該当しないと解釈された可能性がある。バスターミナルの案内所の係員は私をダマすつもりだったのではなく、単に大型バスは無いよって言ってただけかもしれなかった。
いずれにしても大型バスではなくミニバスでも、ロットゥーに比べると遥かに乗り心地がいい。ハジャイまでの4時間、私は快適に移動することに成功した。