47都道府県温泉巡り・北九州編03
武雄温泉での宿は、武雄温泉楼門のすぐ近くの湯元荘東洋館に逗留する事にした。この宿は長崎街道塚崎宿の脇本陣・平戸屋跡に建てられた温泉宿で、かつては宮本武蔵も逗留し五輪書の構想を練ったと言われる由緒ある温泉宿だ。楼門の内側に建てられていたとされる本陣と共に、参勤交代の武士たちを泊めていた宿である。そして私にはこの宿の3階の角部屋が宛がわれた。ここは楼門の正面に位置しており、一日中楼門を眺めることが出来る。宿から見た夜ライトアップされた楼門はなかなか優美だった。夕食は部屋食で、多彩な料理をこまめに上げ下げしてもらえる。これで1泊2食19,800円。なかなかコストパフォーマンスの高い逗留体験となった。
楼門内には共同浴場や家族風呂などがあり、家族風呂には殿様湯と呼ばれている湯船もあり、これはかつて本陣内にあった武雄の殿様鍋島氏専用の浴場をリニューアルした浴室だ。まさに殿様気分で入浴することが出来る。
ただ、この殿様湯に入浴するには事前予約が必要で、一人旅の私にはハードルが高い。なので代わりに宿の温泉に何度も入湯することにした。宿には露天風呂は無く内風呂だけの入浴となったが、大きなガラス窓があり開放的な湯浴みを楽しめた。弱アルカリの温泉はスベスベした肌触りの泉質で、入浴しやすい優しい温泉だった。
翌日は武雄温泉駅から特急みどりに乗り、早岐へと移動。早岐から大村線の普通に乗って諫早へと向かった。武雄温泉から諫早まで1時間44分掛かった。新幹線が出来るとこの区間は十数分ほどで移動することが出来る。ということは長崎観光のついでに武雄温泉という選択肢が増えることにはなりそうだが、その効果は限定的だろう。
諫早駅から諫早鉄道に乗り込む。諫早鉄道は日本一運賃が高い鉄道として有名で、諫早から43.2km先の島原港駅までの運賃が1540円。JR幹線の同距離区間運賃が770円なので、ちょうど倍の運賃だ。ただ、諫早鉄道は途中下車が何度でも可能なので、途中下車を繰り返すとそんなに割高感はなくなる。私は、諫早から終点島原港までの切符を買い、島原駅で途中下車し、島原観光を楽しむ事にした。
島原での滞在時間は、昼食時間込みで約2時間。そこで観光は島原城と武家屋敷に絞って街巡りをした。
まず島原城を見学。これは1964年に復元された天守閣をもつ城で、高い石垣の上に天守閣が建てられているため、天守閣からの眺めは抜群だ。ただ天守閣へと向かう道は勾配がきつい坂路で、この日は3月にしては異常気象で気温が25℃に達しており、厚着で来てしまった私は汗だくになってしまった。
そして江戸時代の古道沿いに点在する武家屋敷を見学。古道には水道として使われていた水路が中央に流れている。武家屋敷で江戸時代の武士の暮らしぶりに思いを寄せながら、島原駅へと戻って行った。