バンコク隔離ホテル生活09
私がホテルに隔離されている間に、バンコクのコロナ感染状況がどんどん悪化していった。
コロナ感染抑制に関して、タイはかなり優等生で、2020年12月中旬まで一日10~20人の感染者数にとどまっており、12月19日までの累計感染者数は4,300人程度と日本の1/40以下でしかなかった。ところが、サムットサコーン県のマハーチャイ市場で、ミャンマーからの密入国労働者を中心に大規模なコロナクラスターが発生。548人もの感染者が一気に発生した。
その後1日の感染者が200人から800人の間で推移して、1月5日には累計感染者数が約9,000人になり、2週間余りで倍増してしまった。発生源もラヨーンの闇カジノとかメーソトの密入国とか様々な情報が錯綜するようになり、バンコクの感染者数も増加していった。
私がアソークのグランデセンターポイント・ターミナル21に隔離され始めた12月24日の時点では、ホテルの窓からソイカーボーイのGOGOバーが営業している事を確認できた。しかし12月29日にバーやマッサージ店の営業停止命令が出て、ソイカーボーイの灯が消えてしまった。
そして1月4日、バンコクに感染予防措置の告示が発出される。これによって、学校が1月末まで休校となり、飲食店の営業が21時までに制限され、店内でアルコールの提供ができなくなった。事前の噂では飲食店では店内で喫食ができなくなり、持ち帰りのみの営業となるのではないかとの予想もあったが、そこまでの厳しい規制とはならなかった。
しかし、小売店での酒類の販売が停止になる可能性がある。実は4月にバンコクは1度ロックダウンを経験しているが、その時は酒類の販売が全て停止されてしまい、愛飲家に大混乱をもたらしたことがあったのだ。今回も同様の措置が執られる恐れがあった。
バンコクの酒好きの知人は皆、酒の買い溜めをしているようだった。しかし、私は1月8日まで囚われの身だ。それまでに酒類の販売が停止されたら、酒を入手できなくなってしまう。そこで知人に私の分の酒も買い溜めしてもらうように依頼した。取り敢えずウイスキー2本とビール6缶を買ってもらい、万が一の酒類販売停止に備えることにした。
しかしその後酒類が販売停止となることは無く、私の備えは杞憂に終わった。ただ当面、飲食店の店内でアルコールを飲めない状況が続いている。早く隔離を終えて自由を手にしたいと思っていたが、その自由はかなりの制約を伴うものになってしまった。