登録有形文化財・駅舎巡礼08
近畿地区最後の登録有形文化財駅舎巡りとなる近江鉄道・鳥居本駅へと出かけた。2020年10月30日(金)だった。
ある程度まとめて近江鉄道に乗るのなら、全線1日乗り放題となる1デイ・スマイルチケットを利用するのがいい。900円で1日乗り放題となるが、近江鉄道のドル箱路線八日市~近江八幡間の料金が460円なので、この2駅を往復するだけでも得になる。ただチケットを使えるのは金土日と祝日のみで、私が金曜日に近江鉄道の有形文化財駅舎を訪れようと思ったのは、このチケットの存在が理由だった。
大阪からJRで移動し、午前11時過ぎに近江八幡駅に到着。近江鉄道の駅へと移動し、窓口で1日乗車券を購入しようとした。すると駅員は1枚500円だと言う。1枚500円?何か別のチケットと間違えていたら困るので、1デイ・スマイルチケットですか?と確認したら、1日乗車券はワンコインスマイル切符ですとの回答だった。
調べると、ワンコインスマイル切符は9/4(金)から11/3(祝)まで売られていた数量限定切符だった。社会実験として900円を500円に値下げして販売されていた。大人は1枚500円だが、子供料金は100円だった。あくまでワンコインにこだわった値段設定となっていた。
この切符を使って、まず新八日市駅へと向かった。近江鉄道には鳥居本駅と新八日市駅の2つの遺産と言うべき木造駅舎がある。このうち鳥居本駅のみ有形文化財に登録されており、新八日市駅は未登録だ。
しかし新八日市駅は旧湖南鉄道の終着駅だった駅で、ターミナル駅らしい立派な駅舎だ。駅舎の2階には湖南鉄道の本社があり、1階には特等待合室もあった。駅舎完成も大正11年と鳥居本駅より古く、むしろ歴史的な価値は新八日市駅の方が高い。
だが、実際に有形文化財に登録されているのは鳥居本駅のみだ。そしてこの新八日市駅はかなり老朽化が進んでいて、解体近しを思わせる様相を呈している。近江鉄道は老朽化が否めない新八日市駅舎の延命を諦め、鳥居本駅のみを有形文化財に登録し保存しようと考えていたのではないだろうか。
ただ、地元行政が旗振り役となり新八日市駅の駅舎の保存運動が始まっているとの話もある。駅舎ファサードは甲子園みたいにツタに覆われていたが、ツタは手入れが入っていて、駅舎を残そうという機運を感じさせられた。