登録有形文化財・駅舎巡礼06
続いて、兵庫県と京都府の登録有形文化財駅舎を巡ることにした。ここで利用した切符は、JRの秋の乗り放題パス(7,850円)だ。
この切符は「秋の青春18きっぷ」と呼ばれている切符で、JRの普通・快速が乗り放題になるチケットだ。ただ青春18きっぷと違うのは、有効期間が3日間であること(青春18きっぷは5日間)と、その3日間は連続した3日間でなければならないこと(青春18きっぷは指定期間中の任意の5日間)、そして一番大きな違いは購入時に使用日を事前に指定しなければならない点である。
私は10月6日から8日までこの切符を使って駅舎巡りをしていたが、切符を買うときに使用日を入力しないと購入できない仕組みになっていた。この違いは大きくて、乗り放題パスはチケット屋で買うことが出来ない。
まず大阪から福知山線、山陰線に乗継ぎ、城崎温泉へと向かった。城崎温泉ロープウェイの文化財駅舎を巡るためだ。午後1時過ぎに城崎温泉駅に到着した私は、まず宿泊先の温泉旅館に荷物を預けて、ロープウェイの山麓駅へと向かった。JRの城崎温泉駅とロープウェイ駅は1kmほど離れている。ブラブラと温泉街を逍遥し、山麓駅へと向かった。
山麓駅で往復910円のチケットを買って、山頂駅へと向かう。山頂から温泉街のグランドビューを楽しんでから、再びロープウェイに乗り込み、山頂駅と山麓駅の中間駅である温泉寺駅へと向かう。
城崎温泉ロープウェイは昭和38年の開業で、3駅とも開業時に作られた駅だ。有形文化財のデータベースには「国土の歴史的景観に寄与しているもの」というのを登録理由としているが、今登録しなければならない遺産なのかちょっと疑問が残る有形文化財だった。
この日は城崎温泉に宿泊。宿泊情報はGOTOトラベル温泉旅11に記載した。
翌日、午前9時に城崎温泉を出発し、山陰線、舞鶴線を乗り継ぎ小浜線の松尾寺(まつのおでら)駅へと移動。松尾寺駅は京都府内唯一の登録有形文化財駅舎だ。
大正11年開業の駅舎は切妻屋根のシンプルな建物で、羽目板の外壁と木製サッシが特徴的な木造駅舎だ。昔は日本板硝子舞鶴工場への専用貨物線もあり、数本の線路が交差する大きな駅だったが、今は単線の棒状駅となってしまい、駅舎は線路から少し離れている。
確かにいつ取り壊されても不思議じゃない駅舎だ。こういった遺産を保存するために、登録有形文化財制度は有効に活用されていると言える。前日見た城崎ロープウェイの駅舎と比較して、登録有形文化財制度の意義を改めて考えさせられた。