GOTOトラベル温泉旅07
翌朝湯沢を出た私は、関越道をひたすら南下。世界遺産になっている富岡の製糸場を観光する。日本初の近代的な製糸工場として有名な富岡製糸場だが、実は昭和62年まで現役の製糸工場として使われていたことを、私は初めて知った。
国宝となっている製糸工場奥の西置繭所は2020年10月のグランドオープンに向けて整備されているところだったが、この日は先行公開のツアーに参加することが出来た。繭の倉庫として使われていた建物の内部は、博物館として往時の製糸産業の遺構が展示されていた。
高速道路の藤岡PAに隣接する道の駅「ららん藤岡」で食事をとって、沼田へと移動。真田幸村の兄真田信之が城主を務めた沼田城本丸の跡地の沼田公園を観光する。ただ往時の遺構は殆ど残っていないので、そこに建っていたであろう天守閣の姿を想像するしかない施設だった。
そしてその後、スコットランドの古城をそのまま移設したロックハート城へと移動。メルヘンチックな観光施設だが、ヨーロッパの古城を見るならやはり現地で見るべきだという感想しか持てなかった。
沼田から一般道を通り1時間ほどで今回の旅の目玉・法師温泉へと辿り着く。途中崖崩れの通行止めや交互通行が何か所かあり、結構山奥までやって来たとの思いを深くする。
法師温泉では一軒宿の長寿荘で宿泊。ここは明治28年に建造された鹿鳴館様式の法師乃湯という内湯が有名だ。かつて国鉄のフルムーンパスのCMで使われた温泉で、上原謙と高峰三枝子が一緒に入浴するシーンは話題になった。旅館の壁には、その当時のポスターが張られていた。
法師乃湯でのんびりと湯に浸かっていると、底に敷き詰められた石の間からブクブクと泡が出て来る。ここは今は数少なくなってしまった自然湧出の温泉だ。湯温が微妙に違う4つの湯船があり、ぬるめの湯でゆっくりと湯浴みを楽しむことが出来る。なかなか得難い温泉体験となった。
法師の湯は山あいにあるので、冷房要らずということで部屋にエアコンは設置されていなかったが、8月の湯上りは流石に暑かった。扇風機に当たりながら、ゆっくりと火照った体を冷ましていった。