熊本~指宿観光特急旅03
翌朝熊本駅構内のファミリーマートで駅弁を買って、観光特急いさぶろうに乗り込む。いさぶろうは工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインした2両編成の特急列車だが、人吉~吉松間は普通列車として運転されていて、その区間の無人駅対応で整理券の発券機も据え付けられている。
いさぶろう1号は8:31に熊本駅を出発。車内にはアテンダントも同乗しており、飲食物、お土産や、キーホルダーやストラップといったグッズが売られている。弁当の当日予約も受け付けており、熊本駅で駅弁を買っておく必要は無かった。
弁当の予約を受け付けていないというJR観光案内所で聞いた前日の情報は、ニセ情報だったという事になる。結果的にそのニセ情報は、車内販売の販売機会を奪ってしまったのだった。いさぶろう1号は10:04に人吉駅に到着。ここから吉松駅までの各駅を数分ずつ停車しながら、肥薩線を進んで行く。
肥薩線は1909年に全通し、1927年に川内経由の海沿いのルートが開通するまで、鹿児島本線として運用されていたルートだ。ただ肥薩線のルートは山岳路でループ線やスイッチバックもあり、大量輸送が難しいルートとなっている。それゆえ、そもそも幹線として運用するのは無理があり、開通から18年で幹線からローカル線へと地位を落としている。
人吉駅の次は大畑駅(おこばえき)。日本で唯一のループ線途中のスイッチバック駅という駅だ。また大畑駅の駅舎に名刺を張ると出世するという噂があり、駅舎内は色々な名刺が張り巡らされていた。
大畑駅の次は矢岳駅。7分停車した後、いさぶろうは真幸駅へと向かう。途中、矢岳トンネルを抜けると宮崎県に入る。そこが矢岳越えと呼ばれる景勝スポットとなっている。
霧島連山を背に、川内川流域のえびの市の市街地や京町温泉街を見下ろすことが出来る。いさぶろうは矢岳峠の途中で一時停車する。そして、日本三大車窓のひとつとされる景勝地の写真撮影タイムとなる。ただ、この日は天気が悪く霧島連山は深い霧に覆われていて、景観を堪能することは出来なかった。
スイッチバック駅の真幸駅を過ぎると吉松駅へと向かう。ここがいさぶろうの終点となっており、次の観光特急「はやとの風」に乗り換えた。